高齢の男性には前立腺肥大症による排尿障害が多くみられ、 内服薬による治療や前立腺切除術などにより改善が見込まれます。

 

これらの治療が十分に効果のない例や、 神経因性膀胱のために残尿を多く認める例には間欠自己導尿を指導し、 残尿がないようにしていくことが大切です。

 

手術後の患者さんのなかには、 尿道の浮腫などの一時的なものが原因の場合もあるため、 看護師が適宜導尿を行って改善を待つこともあります。

 

前立腺肥大症の場合には、 風邪薬や飲酒、排尿をがまんすることなどが誘因となって急性尿閉を引き起こすこともあります。 また膀胱結石や高度の血尿に伴う凝血塊により尿閉となる場合もあります。

 

膀胱炎など膀胱の刺激症状が強いときには尿が溜まっていないのに強い尿意を訴える例もあります。 これらのことを考えながら、患者さんのそれまでの排尿状況や内服薬の把握、 尿の性状にも注意していくことが必要です。

 

(東邦大学医療センター 大橋病院 泌尿器科 )