血尿の定義

ほとんどすべてのヒトの尿中には極微量の赤血球が混じっていますが、 尿沈渣上、高倍率(400倍視野)で赤血球が各視野1個未満を正常としています。 また尿潜血反応は壊れた赤血球から出るヘモグロビンのペルオキシダーゼ反応の程度を見るもので、 尿潜血反応陰性または士までを異常なしとし、1+以上を血尿とすることが多いようです。

 

腎前性の血尿

血尿が出るのは腎前に原因がある場合、溶血性尿毒症症候群や播種性血管内凝固(DIC〉などで赤血球が壊れて尿潜血反応が強陽性になることが考えられます。

 

腎性の血尿

腎の糸球体に原因がある場合は糸球体腎炎やIgA腎症などで 腎糸球体が破壊されて赤血球が変形して壊れて出てくるもので、 尿潜血反応が強陽性であるにもかかわらず尿沈査上の赤血球数が多くなく、 尿中に変形赤血球を認めます。

 

腎の異常による血尿はそのほかに腎嚢胞、腎血管筋脂肪腫、 腎細胞癌などの腎の良性や悪性腫瘍、 腎動静脈瘻や腎静脈うっ血などの腎血管異常、腎外傷、腎結石、腎盂腎炎などがあります。 腎の固定が不十分な遊走腎では運動後に血尿が強くなります。

 

腎後性の血尿

腎より下方では結石や尿路の炎症、悪性腫瘍などが原因になります。 小児では血尿から膀胱尿管逆流がみつかることがあります。 しかし、血尿の原因を特定できない場合も多いので、 そのような場合、便宜上、特発性腎出血という診断名を付けておくこともあり、 超音波検査と尿細胞診を定期的に行って経過観察します。

 

血尿の原因

腎前性 溶血性尿毒症症候群、播種性血管内凝固(DIC) 腎性 糸球体腎炎(IgA腎症など各種腎炎や腎症を含む)、腎嚢胞性疾患、 腎血管筋脂肪腫、腎細胞癌、腎盂癌、腎血管腫、腎外傷、腎梗塞、腎結石、 腎盂結石、腎盂腎炎、遊走腎、腎動静脈瘻、腎静脈うっ血 腎後性 尿管結石、尿管癌、膀胱尿管逆流、膀胱炎、 間質性膀胱炎、膀胱結石、膀胱癌、前立腺肥大症、前立腺癌、 前立腺炎、尿道炎、尿管ステント留置、膀胱カテーテル留置

東邦大学医療センター 大橋病院 泌尿器科 引用